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Case of CircularTone

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2年前に細々と始めたCircularTone Recordsの原盤等のシステム、考え方の簡単な説明をしておきます。ベストな発想かどうかは未知数ですが少なくとも既存のシステムとは一線を画すものだとは思います。アーティストの利益を如何に守るか?から全ての考えは始まりました。

「原盤・原盤権」
基本的な考えとしてアーティストとレコード会社が半分ずつ持ちます。50:50です。プロデューサーが関わった場合にはレコード会社の取り分からパーセントを支払います。お互いにその後譲渡等が無い限りは永久にその作品に関してはこの関係を保ちます。
計算方法としては通常の:「商品単価 - コスト×X%」的なものではなく、単純に「売上(利益)」を分配します。
ですのでコスト(制作費、プレス代、ジャケットや宣伝費やら含めた総コスト)がマイナスの間は誰も利益は生みません。通常で言うところのリクープラインとは考え方が変わっては来ますが、コストを精算出来た後に初めて利益分配となります。

「原盤制作費」
制作費・コストに関しては上記のことからアーティスト・レコード会社での折半となります。
実際の金銭は他人に出してもらう形も可能ですが、その場合は単純に両者(アーティスト、レコード会社)がその人に借金を負うこととなります。金銭を出したことによって原盤権を得られるわけではありません。もちろん共同出資で原盤権の一部を譲ると言うケースはあり得ると考えます。

「アーティスト印税」
単純な利益分配なのでアーティスト印税と言う考えは入っていません。実演権も上記原盤権に含まれている考えです。ですので所謂原盤権の考えとは異なって来るかと思います。

例)話しを単純化するため商品がCDだけ、販売価格2000円、総コスト100万円の場合。
仮に1000枚売れて、シンプルに考えると「2000×1000-流通コスト」が利益(損益)となります。全てをレコード店・通販店等での販売で手数料50%だったとして概ねトントン(利益も損益も無し)でしょうか。次の1000枚で利益100万円…1万枚売れれば1000万円という風になって行きます。それを折半します。
利益を上げるには直販・手売り・ネット配信を進めて行くのがシンプルな道の様です。

「アーティスト契約」
基本的にアーティストとレコード会社はその作品に対しての協力関係を持ち、次作品での移籍等はアーティストの意志を尊重します。その後の拘束は考えません。ただ上記原盤の考えから元が取れるまではレコード会社との契約存続如何に関わらずアーティストも借金を負い続けることになります。当然利益が出れば移籍後も分配は続けられます。


☆レコード会社側の現状の問題点
各アーティスト、作品毎に収支を追い続けねばならないため、作品数が増えてきた時に事務処理がそうとう大変になって来ます。またアーティスト側もその作品に対しずっと収支情報を追い続けていかなければなりませんしレコード会社はずっとオープンにしなければいけません。その情報提供も事務側の負担は大きそうです。
実際ネット販売の場合楽曲毎にも追っていかなければならないので、作品数が増えるとかなり煩雑な業務となります。

上記の様な大雑把な発想でスタートして2年が過ぎ、その間の時代の変化を目にしているとそろそろ次の段階へ発想の大転換を迫られている様に感じています。

以上おおまかにですが、CircularTone Recordsの基本的なシステム・考え方でした。
http://circulartone.com/

昨夜の投稿の追加文

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深夜にだらだらと書いた文章がFB、twitter上でもとても大きな反響を浴びていて正直びっくりしている。
本人としてはそんな大それた事を書いた意図も無く、日常的に感じていたことをごく簡単に述べてみただけだったのだが。タイトルに付けた『音楽家が音楽を諦める時』の言葉が無駄にインパクトを与えてしまったのだろうか。
ともかく、たくさんのコメントやメッセージをありがとうございます。興味深く読ませていただきました。その中には誤解されてるなぁと思うのもあったりするのだけど、それは一重に元の文章の言葉足らずが所以かと思います。
そんな訳で昨夜あまり丁寧に書けなかった部分・誤解を与えそうなところを多少なりとも追補できたらとまた長文を。

はじめに。昨夜書かれた「音楽を作る」こととは全般に録音物としての音楽制作の意味です。
音楽を作ることには作曲、演奏やライブやレコーディングやら色々な部分がありますが、その上で昨夜の文章は録音される音楽に限定した話しです。なので例えば「いい音楽を作るにはお金がかかる」=「いい録音物を作るにはお金がかかる」の様に読み直していただけると助かります。

”音楽を諦める”も同様に「いい録音物の制作を諦める?」と言うニュアンスで、音楽そのものや制作を放棄する、あるいは新しい音楽スタイルの模索や思考や指向を諦めるとかの意味では無いです。
はじめのところにも書いた様に僕自身は音楽をやめるつもりは毛頭なく、自分のバンド活動等含めこんな時代になったことを実は案外前向きにかつ興味深く捉えています。時代に対してポジティブであるからこそ「おやすみ音楽」の様なアプローチも続けていられるのかと思います。

ただ現実を鑑みるとプロとしてある部分を”諦めて”前に進むしか無い残念な状況ではある、と言う話しです。

音楽には色々な手法があります。PC一台だけで出来てしまうものから大人数揃い広い場所が無いとできない音楽まで。そしてその手法による音楽的優劣など当然ありません。
ところが制作の過程におけるコストには明らかな違いが出て来ます。PCだけの音楽はアパートの一室で低消費電力で粛々と制作できるのに対し大人数の音楽や大音量を発する音楽はそうも行きません。
後者は場所だけの問題では無く、それらを録音するには高度な技術やセンス多量の機材等も必要となります。プラグインとソフトシンセだけで作られる音楽の様に手軽に制作は出来ません。

例えば十分な予算を持てないロックバンドが居たとします。
どうするか?一番安上がりなのは、ドラムを打ち込みにし他の楽器は全てプラグインで音を作り、歌は押し入れで布団を被ってガナリ立てればいいのです。それをメンバーのアパートの一室でミックスして完成。
もしそれじゃさすがにショボイ!と感じたらそうやって録音したファイルを僕らの様なプロに委ねればいいのです。ローコストながらそこそこなクオリティで仕上がるでしょう。

このやり方をしても「音楽のいい悪い」に大して影響は無いでしょう。じゃぁ僕らはそうやって安価に作り続けて行けばいいのか?僕は否定的です。
もちろんそういう音楽の作り方そのものに何の非もありません。そういう作られ方の音楽が存在して行くことも決して否定はしません。ありです。
が、もし僕がそのバンドにプロデューサーとして関わるならば違う方法を探すでしょう。彼らが出す生の音、生の演奏を記録できる方法を。それは自分の為では無く必ずそれを経験できた彼らの為になるからです。自分達の出す・出せる音を知れるからです。演奏者はいい音を出すことを知ってはじめていい演奏に向かえるのです。

ところがこの方法はそれなりにコストが掛かって来ます。時間の掛け方もダイレクトにコストに影響します。
演奏にかかる時間は元より、ある程度時間を掛けなければ「いい音」(納得できる音)は見つけられません。そのバンド、その楽曲に見合うドラムの音、ギターの音、ボーカルの声色等々。そうして制作コストは膨らんで行きますが、そう出来なければ到達できない音・演奏(つまり音楽)がそこにはあります。
昨夜書いた「コストは音の作り方・クオリティに正比例する」の真意はここにあります。

僕個人はとてもデジタル好きな人間で、上記の様な人間臭いアナログな方法論はさっさと捨てて一人ディスプレィに向かい粛々と音楽を作りたい欲求をいつも抱えています。
でも音楽制作人(プロデューサー)としての自分の仕事は上記の人間クサイ面倒な道を歩まなければなりません。そうしなければ自分にもそのアーティストにとっても”いい音楽”には出会えないからです。
が、そういう音楽の作り方をする為の最低限の土壌がこの国にはもうあまり残っていないこと。その事によって日本の音楽の質もビジネスとしてもガラパゴス化し遅れを取ってしまっていること等を憂えたのが昨夜の文章の真意です。

producing the music

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(株)ビタミン出版のホームページにプロデュースに関することをつらつらと書き始めてみました。

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先日京都での早川義夫さんとのライブ翌日、富士通テン小脇さんの計らいで Time Domain社の由井啓之社長にお会いしてきた。

Time Domain(以後TD)理論によるスピーカーに出会ったのはもう7~8年前になるのか?エンジニアのMichael Zimmerling(マイケル・ツィマリング)の紹介で富士通テンのエクリプス・スピーカーの音をdog house studioで試聴したのが最初。聴くなり「キョトン!?」としてしまった。つまり、今までに触れたことの無い質感の音だった。一聴してこのスピーカーが今までのそれとは一線を画すモノだと気付いた。
以後エクリプスの各機種、Yoshii 9、Yoshii miniを経験し、今も仕事上も日常でも無くてはならないスピーカーとなった。

僕自身TD理論については実はいまだに”何となく”の範囲でしか理解できていないと思う。でもそれが”明らかに正しい”であろうことは経験上から実感している。

さてそんな経緯で、ずっと尊敬していた由井さんにお会いできたのは何とも嬉しい限り。
初対面にも係わらず気さくに色々な話しをして下さった。実は話しと言うよりは僕にとっては”講義”の様にも感じられるありがたく、興味満載のお話し。
そんな中でネット上で何となく気にはなっていたマイクを見せていただいた。
それは想像とは全く違う小さな小さな貧相なマイク。直径にして5~6ミリ。そのマイクカプセルに細い電線を直付けと言う。その場ではそのマイクの音、あるいは収録した音源を聴くことはできなかったが、そのマイクの『武勇伝』はたくさんうかがえた。ステレオで50円のマイク!

京都から戻り早速マイクの情報を調べた。伺った話、形態などから”これかな?”と思った候補がいくつか上がった。小さな小さなエレクトレット・コンデンサー・マイク。仕様の周波数特性を見ると通常僕らがレコーディングで使っているマイクとは大きく違い、限りなくフラット。ピンと来た。これかな?

早速秋葉原(”あきばはら”が正しい(古い)読み方ですよ!)へ弟子であり良き仕事仲間でもあるサウンド・エンジニア中崎女史を連れ出す。10年以上ぶりの秋葉原のパーツショップ、いくつもの店を探しまわりやっとお目当ての品を秋月電子で発見。
その足でウラニーノのリハーサルスタジオへ直行。その場で中崎さんがマイク製作をし、リハーサルの合間に山岸君のギターを借りてその日の”おやすみ音楽”をKorg MR-2に試し録り。(後にそのサウンドが話題になりtwaud.io の世界ランキングで一位にまで入ってしまった!)

ヘッドプォンで聴きながら演奏を始めるなり今までのどんなレコーディング経験とも異質な感覚を覚えた。それはエクリプスのスピーカーを初めて聴いた時以上の衝撃だった。完璧に自分が演奏しているギターの音が”そこ”に存在していた。思ったことはただひとつ「由井さん、おそるべし!」

その場でエンジニア中崎がそのマイクを「エノキダケ」と口にし、あっと言う間に”エノキダケマイク”の名称が定着してしまった。

数日後ウラニーノのレコーディングで河口湖スタジオに向かう。
「おやすみ音楽」制作の為、レコーディング終了後スタジオのアップライトピアノをエノキダケマイクで録ってみる。素晴らしい音だ。やはり今までには経験したことのないピアノの音・音場。
その音を聴いた中崎が翌日「これで(エノキダケマイク)録りましょう」と言い出し、初めてこのマイクでのスタジオ本番録音に挑戦することとなる。

話しが長くなるので省略するが、そのマイクの音は今までのどんなスタジオ録音の経験とも全く次元の違う音だった。アコースティックギターも歌も録った。ピアノも録った。ベースもエレキギターも録った。ドラムも録った。どれも、どの音も自然で何の補正(EQやコンプや)も必要とせず、リバーブやらのエフェクトも必要としない音。ただ録った音達を”好きなように”バランスを取ればいい音。
衝撃だった。決して大袈裟では無く”レコーディングの歴史が変わった!”と実感した瞬間だった。

それは僕らプロデューサーやエンジニアだけではなくミュージシャン(ウラニーノメンバー)にとっても衝撃的な事件だった。
僕自身の演奏上での体験も衝撃的だった。そのマイクでのモニターを聴きオケにあわせピアノを弾く。
例えば、Cのコードをバン!とフォルテシモで弾く。でもその時にド・ミ・ソのミの音を強くしようと思うと、クリアにそれを感じられる。左手のC音の親指小指のオクターブユニゾン、親指を強く弾くとそれがわかる。そんなことは過去のレコーディングではありえないことだ。もちろんピアノ単体ならそれはできる、感じられる。がロックバンドの分厚いオケの中でのダビング時にそんな繊細なコントロールはあり得ないことだ。

おそらくこのマイクは聴いている人以上に演奏家に与える心理的効果の方が遙かに大きい様に思える。が故に理解されにくい、あるいは誤解を生みやすいかも知れない。
ありとあらゆる贅沢なマイク、HA、コンプやEQを使い。そんな現場で40年近くやって来たからこそ断言できること。
「全ての先入観を捨てて試してみること」「心を開いて音を感じること」「音の”何”を必要としているのか、今一度考え感じてみること」

この革命は特化された人のためでは無く、全ての人の為だと確信する。

最後に「由井さん、ありがとうございました。心の耳がやっと開かれました!」

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8/24からの3日間 unsuspected monogram のアルバム・レコーディングで河口湖スタジオへ行って来た。
今回のレコーディング、通常のレコーディングではなく突拍子も無いアイデアの元にスタートした。そのアイデアとは:
1) 全曲同時録音、一発録り。
2) アルバム全11曲をアルバムの曲順でライブの様に一気に演奏・録音する。
3) その模様を ustream で世界にリアルタイム配信をする。
4) その画像を後にPVやDVD等に使えるクオリティのものにする。
そして次ぎのアイデアが一番重要で一番難関となったところ。
5) そこで演奏し流される音(ustで)は通常のミックス作業をされた音=CD化(音源化)された時の音であることもしくは限りなく近いこと。(もちろん最終的な調整は必要なので100%同じにはできない。でも知らずに聴けば完成品の音になっていること)

レコード・プロデューサーとして30年超音楽制作に関わってきて、こんな興奮できる録音方法を思いついたことは無かった。こんなことを実現できるチャンスにやっと辿りつけた幸運。

実際にはわかりえないが、おそらくこんな方法でのバンドの録音は世界初ではないかと思う。ustreamの歴史の浅さを考えてもおそらくそうなるだろう。

ー それぞれのアイデア・プランの解説をすると ー
1)、2)
 自分で言ってしまうのは何だが、とにかく演奏力に関してはunsusは並みのバンドとは違う。実際いつ録音をやってもほぼワンテイクでオーケーを録れてしまうメンバー。しかもずっとライブで演奏して来た楽曲達、ライブ同様一気に演奏できないはずは無いと思えたこと。全員がその自信を持てるバンドだったこと。
 実際こんな無謀なプランをメンバーに話した時にも誰一人として反対することも無く「面白いやりましょう」と即決できた。

3), 4)
 Kampsiteのスタッフと知り合えたこと。共鳴しあえるところを大いに感じられたこと。
きっと素晴らしい映像を作り出してくれる、そしてそれを中継できる興奮。
 折角の一発録り、現場の緊張感を更に高める為にもオンエア無しではこの企画はあり得なかった。

5) ,6)
 昔からレコーディング現場で自分で演奏をする際に感じていたことのひとつ。それは最終的なバランス、エフェクトもかかりオートメーションも入った音の中で演奏をしたかったこと。演奏家の演奏中の心理に一番大きな影響を与えるのが実は音色やバランスだったりする。それによって自分はその音の中でどのポジションでどう演奏すべきかがはっきり見えて来る。ならばどうにか最終形のバランス・音の中で演奏をする方法は無いだろうか?とずっと考え続けて来たことを現実化する方法が今日の技術でやっと可能になったこと。
 そしてそのエンジニアリング、音の作りも他人の手に頼らず自分で全てコントロールすること。かつ自分はその時演奏する側=コントロール・ルームの向こう側に居ると言う矛盾を乗り越えられること。

そんな企画を実現すべく河口湖スタジオへ本番レコーディングの二日前から入る。
スタジオのSSLコンソールを使うアナログ方式は全て捨てて、全てをProTools内で完結させる為に使い成れた自分のシステムをまとめて持ち込む。Mac, Audio Interface, Speaker, Speaker Switcherやら何やら普段使用しているものを一切合切。それプラスアンプ等バンドの楽器、自分のギターやエフェクターやら。山のような荷物を引越さながらに運ぶ。

今回僕の片腕(僕は片耳と呼んでいる(笑)=何故なら年齢的に僕は高い周波数は聴き取れなくなっているので高い成分に問題が無いかを彼女に聴き取ってもらう必要がある。そしてアイデアや方法なども相談できる相方として)中崎文恵さんとスタジオに昼過ぎに到着。スタジオアシスタントの藤浪君に簡単に今回の企画・方法を説明。
今回はエンジニア3人での分業。僕が全体の最終的な音作り。中崎さんがその音に対するアドバイスと補佐及び録音当日はチーフエンジニアとして卓の前に坐る。藤浪君が録り側、つまりマイクからProToolsまでの音の制御を担当。

SSLは録り用のフェーダーしか使わないのでSSLの少し手前にコンパクトなスタジオを設営。Euphinox MC Mix+Control、ディスプレイモニター、モニタースピーカー(GENELECの1029A。サブウーファー1091A+ECLIPS TD307PAII)を正面にセット。左手側に MacPro, Apogee MiniME,+MiniDACなどをセット。右手にNovation 61SL MIDIキーボードとDigiTech Studio Vocalist, KORG KAOSS PADをセットしてスタジオ側は完了。

次々到着したメンバー、まずはドラムのホシヤンの位置決め。
スタジオ内の様々な位置でをスネアを鳴らしながら音をチェック。広いところでやるのも興味があったが歌も同録の為と音のことを考えドラムは一番端のブースに決定。
ドラムセットを組みマイクをセット。手の空いている隙に自分のアンプ、エフェクター、ギターなどをセット。ボーカルの立ち位置、ベース、キーボードの位置も決め、各自セッティングを開始。
今回はアップライト・ピアノも使うためピアノの蓋を外しマイクをセット。
ベースはエレベとウッドベース両方あるのでベースアンプは前室にセット、ウッドベースは皆と同じ広い部屋にマイクをセット。
キーボードも今回はエレピにフェンダー・ローズを使い、グロッケンもある為それぞれマイクをセット。
ギターアンプには二人とも(たっくら=Matchless Lightning15。僕=1958年製Fneder Deluxe)コールスのリボンマイク→apiのHAと言うセッティング。二人とも音量・音圧小さいのでリボンマイクでも安心。
全てのセッティングが終わり、ドラムの音決めを開始できるまでに4時間程。すでに大変!

ドラムセットはホシヤンが最近手に入れた 1960年台中期のレッドスパークルのRogers Holiday Set。素晴らしいビンテージドラム特有の鳴り。スネアも色々試しつつもロジャースの2種類に決定。音決めも順調に、いい音。
次ぎにベースをウッドも含め全部チェック。ギター、キーボードも順次音決め。
やっと全員で演奏できる。まず手始めに「neon」を録音してみる。
各楽器単体の音はどれもすごく良いのだが、混じった結果いまひとつしっくりと来ない。
あ~でもないこ~でもないと色々試してみるが釈然としない。
その後数曲録音し、ミックスバランスをある程度整え夜10時頃に終了。

それからが大変!当然(?)宴会モードに入り、それをustreamに流しながら大騒ぎ。僕は2時くらいでダウンしてしまったがみんな4時頃まで騒いでいたのでは?
翌朝チェックするとそのオゾマシイ映像がustreamにアーカイブされていたので残念ながらも削除(笑)。

翌朝8時半にスタジオに一人で入る。既にキーボードのオットーが音作りを初めている!

昨夜録音した曲を何度もプレイバックしながら問題点を探る。問題点を発見!ドラムのマイクの位相関係。自分自身でのドラム録りのエンジニアリング経験はとても浅いので起こしがちな素人エンジニアの大失敗。やっと全ての音が落ち着く。ホっと一息つきながらも本気ミックスモードに入る。
遅い朝食を取りみなでスタジオへ戻り、録音開始。
2テイクくらいづつ録音した曲を次々ミックス。
当初のプランでは初日に全曲録音し二日目は丸一日ミックス、3日目に最終確認をし本番に望むはずが、二日目終わってもまだ3曲録音できていない状態。
中崎さんは残業しもろもろ明日への準備。

少し焦りが入りつつも結局その夜も大騒ぎ!カメラマンNojyoさんのust番組からオンエアしながら、歌い弾きまくり・・・アホですこのバンド。明日本番なのに・・・などと冷めた頭もどこかへ置き忘れて一緒に大騒ぎ。
明日はどうなることやら。

三日目の朝。8時半にスタジオに入ろうと思っていたが起きられず20分遅刻。
早速録り溜めた曲のミックス開始。遅い朝食で一休みし、まだ録っていない曲の録音に入る。しかもまだ一度もやったことのないアコースティック曲のリハーサルもある。
慌ただしくマイクをセットしアコースティック・セットへ。
そうこうするうち映像のKampsiteスタッフも到着しカメラのセット等準備に入り出し、スタジオ内人数も増え一気に慌ただしくなる。もはや誰がどこで何してるのかわからない状況の中最終ミックス、調整を行う。
Sound & Recordingマガジン編集長國崎さん、一口坂スタジオ荒木さんも合流しいよいよ本番が近づいて来た。皆が見守る中最後のアコースティック曲のミックスをする。

話しが前後してしまうが、今回の方式。一旦テスト録音した音で先にミックスを済ませ、そのミックス・データ(オートメーション含む)に乗せてバンドが生演奏をするという、いわば逆転レコーディング。当然CPUへの負担も大きい、レイテンシーの問題で演奏がやり難くもなる。その2点が最大の問題点であり危険要素でもある。

開始時間ぎりぎりに衣装(今回はデザイナーのsuzukitakayukiさんにご協力頂きました。この場で感謝させて下さい。とてもステキな服です)に着替え、20時ustreamオンエア開始!

まずはサンレコ國崎さんとの対談からスタート。今回の趣旨、特殊性などを見ている方に簡単に説明。
その後最終チェックをしいよいよ演奏開始。
1曲目は「ame」。
緊張とプレッシャーの中テイクワンOK! が、僕は一箇所だけソロの経過音を半音ミス!!
ま、パンチインで直せる部分では無いので仕方ない。(後で聴いたら全くわからない間違え)
2曲目「忘却」3曲目「commentator」・・・と順次録音。
その間ustreamには嬉しいコメントがたくさん寄せられて来る。まさにライブな感じだし、見ている人達と一緒に作り上げている気持ちになって来る。前回のThe d.e.p.の時もそうだが、そこがust生中継レコーディングの醍醐味になって来た。

曲によっては何度もやり直したりして、思いの外時間が掛かってしまった。
11曲だから1時間半くらいで全部録れるかな?と軽く思っていたのが結局5時間半ほどの長丁場。
それでも終始笑いながらにこやかなメンバーとKampsiteスタッフ、CircularToneスタッフ、終始冷静にハンドリングしてくれたエンジニアの中崎さん、藤浪君に囲まれ全曲レコーディング終えることができた。
たった5時間半で全11曲のアルバムレコーディング、もちろん初の体験だ。アルバムレコーディングとして自分の中で過去最短時間だったのは The Blue Hearts の「Young & Pretty」で確か5日間。それと比較しても異様なスピード記録。

連日の作業と寝不足のせい(宴会のせいだ!)もあり、途中さすがに疲れてしまいギターを弾く腕が動かなくなったり爪を割ってしまったり。でもustreamを見ている方達の書き込みにも後押しされ最後までちゃんと演奏に集中することができた。

終わってみて、改めてメンバーを見直した。すごいバンドになったと思う。まずはメンバーに感謝!

無謀な企画だったが得るモノも大きかった様に思う。
もうこんなレコーディングをすることはまず無いだろうが、一個人の思いつきに大勢のスタッフ、メンバーが協力してくれて、累計14,500人を超える方達にustreamの中継を見守っていただき激励され、温かい言葉を寄せていただました。この場を借りて心から感謝します。

引き続きミックス、リリースへ向けての動きが次々と待ち受けている。
がんばるしか無いね。

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昨日までの3日間、毎晩twaud.ioにアップしているおやすみ音楽シリーズ "Goodnight_to_followers" の作品として初めて VOCALOID を使ってみた。
http://twaud.io/SSY , http://twaud.io/SY5 , http://twaud.io/Sh8

ネット上での反響の大きさにも驚いたけれど、僕がボーカロイド(以下ボカロと略)を使ったことがとても意外と受け取る反応が多かった。多分職業プロデューサーとして見られているからなのか。自分としては音声合成ソフトの初期から音楽に取り入れたりしているのでその反応が意外だった。古くはポンキッキの音楽、PLASTICSのラフトレード盤でのSpeak & SpellによるCOPYや、コンピューター上のソフトウェア音源としては、もう名前も忘れてしまったけれどずいぶん古くから試していた。

僕のシンセサイザー歴のスタートも実はEMSを使っての人声シュミレーションからスタートしている。四人囃子初期の話しなので1975前後。


さて話しを戻してボーカロイド。最初の情報を得たのはいつだろう?もちろんすぐにも飛びつきたかったのだが、時間があまり割けそうになかったことと Windows上でのアプリケーションだったことでなかなか試すこともできなかった。初音ミクも発表された時からすぐにでも使ってみたかったしその時点で試したいアイデアも色々あったのだけれど、やはり上記の理由で出会えないままでいた。
瞬く間に初音ミクは超売れっ子アイドルとなった。予想した通り、いやそれ以上の人気タレント扱いとなった。僕は始めの頃多少聴いただけだが、ネット上には彼女の声が溢れているようだ。

それがtwitter上でのちょっとしたやりとりから簡単な道が見つかった。MacでもWindowsのエミュレート上で動くことを教えてもらえた。なるほどあまりに簡単な道で考えもしなかった。と言うか例えMac上でもWindowsを動かすこと自体に抵抗はあったのだが。

ともかく、すぐに注文をした。選んだのはボカロ3代目アイドルの巡音ルカ。理由は唯一バイリンガルであること、大人しめな声なのも気に入って。

インストールしたその日に作ったのが1作目「春が咲き」(仮タイトル)という曲。先日の unsuspected monogram の関西ツアー最終日にhachi のボーカルハツエさんと共作した作品。その日のGoodnight_to_followersとしてアップされている。http://twaud.io/5wd
真っ先にやってみようと届く前から決めていた曲。結果は予想通り。音楽的に使える。インターフェースに改良の余地は感じるし、声の移り変わり(発音の)にギクシャク感はあるが、決してイヤな感じ・不快な感じと言う程ではないと感じた。昔のアナログ時代のハーモナイザー処理に似た感じとでも言おうか。80年代にアイドルもの仕事で多用したアナログ・ハーモナイーザーでのピッチ補正やメロディの補正時の記憶が蘇る。


二日目に試したかったテーマはブルース。もちろん意図的に”無機的な”ブルース。1970年代初頭(四人囃子以前)に思いつきずっと試してみたかった真面目な遊びのアイデア。40年かかってやっとできた遊び。

前半はバックもバカバカしい程の機械的演奏。と行っても昔のCV/GATE時代の様なリズム感=遅延の無いジャスト感はMIDI以後出せなくなってしまったが。
それが間奏のギターソロが入るとそれだけで趣が変わって来る。あえてオケとかけ離れた激しい歪みきったギターを弾いた。このギターのオブリが乗ってくるとルカの声の表情がそこまでと変わって感じる。そこまでは全く何の処理もしていない”素”のルカの声音。そして最後のコーラス、バンドは突然生演奏になる。ルカの声も通常のレコーディングと同様の処理。コンプレッサーのかけ具合もEQ処理も通常自分でミックスする時の方法、セッティング。軽くディレィをかけて艶っぽく。
当たり前だがそこまでのルカと存在感が変わる。急に生々しくなり、同時にそれが嘘くささを目立たせる、と言う興味深い実験。


三日目。今度はそれまでとは別のアプローチ。何かと言えば、巡音ルカさんと言う歌い手のために書き下ろした曲・詞で作品を創った。出会って3日目にして”その気”になれた。
"FALL" とタイトルをつけた楽曲。

当たり前なのだが”彼女”はその楽曲にちゃんと応えてくれる。生き生きとノビノビと歌う。実は時間が無いのであまりきちんとしたエディットができていないのが残念だが、もっと踏み込めばさらに良い歌い手として応えてくれるだろう。
自分としては予想以上の素晴らしい作品が出来上がったと思っている。

http://soundcloud.com/masahidesakuma/2010-04-20mix ←で44.1K/24bitでダウンロードできます。

「そんな機械に唄わせて何が面白いの?」「気持ち悪い!」と言う声もまだ多いかとも思う。それも至極もっともな感覚だ。
でも自分は一人の音楽家として何の偏見も無く、素晴らしい技術・進歩として喜んで”彼女たち”を音楽制作の現場に迎え入れたい。


3日間を通して短い時間ではあるけれど充実した貴重な音楽体験ができた。ボーカロイド技術の素晴らしさ、将来への期待を含めてtwitter上で開発陣に賛辞を送らせていただいた。

ámé

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unsus_jacket_front.jpg
art work by otoya sakuma


unsuspected monogram の1st. CDが出来上がって来た。[ ámé ] と言うCDタイトルは一曲目の曲名から。
[ 自主制作盤。販売はまずはライブ会場及びホームページ(予定)にて ]

ベーシック・トラックを録音したのはすでに一昨年のクリスマス。その後少しずつのんびりと形にし、最近やっとミックスを終えマスタリングをしたCDが昨日納品された。

こんなに時間を掛けて録音作品を作るのは希だ。と言うか初めてだ。
理由のひとつはメジャーでは無いので、リリース時期もタイミングも特に決まっていないこと。それと「本当にこれでいいかな?」といつまでもどこか踏ん切りが付かなかったこともあるかも知れない。そして今回一番自分にとって大切だった理由は、じっくり納得できるまで少しずつ作り込む音楽制作を追求してみたかったことだ。

音楽の仕事を始めて早35年ほど経つだろうか。その間、音楽を作ることが”仕事”なので当然仕事には締め切りも予算も色々な計画なども絡む。全てがタイムライン上で進行する音楽制作になる。
よほどヒットしたアーティストですらこの流れの制約からはなかなか逃れられない。彼らもまた仕事として音楽を選んでいるから。

しかし音楽を商業から外れて芸術的制作物と捉えると事態は全く変わる。
できる時にできる事を地道にやって行けばよい。期限など要らぬ。お金に換える必然も無い。自分の中の制作(創作)の衝動とだけ向き合って進行させればよい。

幸いにして、同時に不幸にして。音楽家としてある程度の実績と成功を得たが故に、ほぼ全ての関わる音楽制作は”仕事”として成立させざるを得なかった。やっている内容はもちろん創作的活動であり、決して卑下されるべき音楽では無いと思うが、例えそうであっても仕事としてのタイムライン上にあることはいつも明確だ。
ずっと音楽の仕事を続け、そこだけはいつまでも葛藤が残る。

話しが長くなってしまうので端折るが、そんなことが今回の unsuspected monogram の制作の基本方針として自分の中にあった。
このバンドは商業には結びつかないかも知れない。でも自分達で自分達のいいと思える音楽その方法を自由に手にすることだけはできる。そのために始めたようなものかも知れない。

長時間かけ自分でミックスした。現代のテクノロジーのおかげだ。いつでもやりたい時に前回やった作業の続きを始められる。過去のスタジオでは考えられなかった自由がある。この方式はさっきも述べた理由で仕事ではなかなか使えない自由な流れの作業だ。
そしてマスタリングを初めてやった。いいか悪いかはわからない。自分ではいいかなともちろん思っているが。

バンドのコンセプトを考え、曲を書き、演奏をし、ミックスをし、マスタリングもやり。その全ての流れを自分でプロデュースした。プロデューサーになって30年ちょっと、やっとここまでできるようになったのかなと思う。

すごくいいバンドのすごくいいCDができた。Thanks for SO-kun !

final recording, 2009

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昨日で今年の仕事納め。本年最後のレコーディングはウラニーノ

昨日・一昨日と「段ボールに囲まれて」「少年と僕」という曲の歌入れなど。
ボーカル山岸君の声・歌が今までと全然変わってきた。急激にスゴク成ってきた。
声の抑揚、強さ、繊細さ・楽曲としての表現の仕方そしてそこに必要な”荒さ”も含め。

ボーカル・セレクトをしながら真剣に聴き入る。
本当に細かい小さな抑揚の違い、息づかいや切れ際の声の微細なトーン。そんなところを捉えながら、歌を選び作り上げていく。

この作業をしていると時々思うのだが、何を基準に自分は歌を言葉を選ぶのだろう。実際はよくわからないのだけど、でも明らかに明確な意志を持ってやっている。集中すればするほどその意志は自分の中で明らかになっていく。まるで彫刻を彫っていく様な気持ちになる。一刀一刀意志を持って彫っていく様な。

今年最後を飾るにふさわしい素晴らしい歌が録れた。
年明けもすぐにウラニーノの続きの作業が始まる。引き続きガンバろう。

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[ ベースと前説兼マネージャー、ピストン大橋 ]


今日から年末〜年始とウラニーノのレコーディング。
「段ボールに囲まれて」という曲のリズム・レコーディングから順調にスタート。

[ プレイバックを聴きながら天を仰ぐドラム小倉君 ]
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プレイバックを聴いていると大槻ケンジ氏が撮影隊と共にスタジオに登場!
何やら筋肉少女帯のDVDに付ける特典映像で、大槻君が思い出の地を探訪のようなことらしく、10数年ぶりに「スタジオ訪問」企画とのこと。
ウラニーノを紹介し、しばし歓談。相変わらず不思議な人間であります。

大槻君が退散しバック・トゥ・ワーク!


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[ Vo/Gtr 山岸君とサポートGtr コサイ君 ]

meeting

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top_photo.jpg 今日はウラニーノと次のシングルの打合せ。 たったそれだけの一日。でもたったそれだけじゃない、何だか楽しい時間。 いい新曲をたくさん聴けた!

(写真は無断転載)

*)昨夜の代々木 タイフーン・ミニスターズのライブ。面白かった。良かった。
 あっというまに終わってしまい、もう少し聴いていたかったけど。