music: April 2009 Archives

昨日は『高田渡生誕会60 (かんれき)』at 武蔵野市民文化会館に、早川義夫さんと出演。
大勢の出演者がそれぞれ1~2曲しか歌わず、それでも6時間に及ぶコンサート。
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車で会場に着くと、ちょうど早川さんと遭遇。「気持ちが合ってるね〜」と冗談を言いながら楽屋へ。
楽屋は大部屋状態で、たくさんの出演者が一同に。日本フォーク界の大御所、重鎮達がひしめいているのだけど、生憎フォークの方達とほとんど面識が無いのであまり居場所の無い感じだったけれど、横の方に早川さん中川五郎さん達と陣取る。それにしても年齢が高い。僕が若い方に入るのではないかしら。

と、楽屋の中でセッションのリハーサルが始まる。どなたなのかわからないが、聞き慣れたフォーク・ソング(カントリーぽい曲)なのだけど、さすが全員プロ、それも多分歴戦の強者達の歌と演奏、とても心地よく聴こえるとても上手い演奏。普段ロックバンドにしか接していない身としては、かなり新鮮な体験。

簡単なサウンドチェック後、すぐに本番開始。
初っ端の渋谷毅さんのピアノが奏でる「ダニーボーイ」に聴き惚れる。「う〜ん・・・またしても体験したことの無い世界」。コンサートの幕開けにぴったりな素晴らしい演奏。
余韻に浸っている隙も無く、すぐに出番。大きなステージにピアノとギターだけ。どことなく孤独な演奏だったけれど、どうにか無事終了。まぁまぁの出来かな。

その後はのんびりと客席でコンサートを味わう。
さすが大御所達ばかりなので、いい演奏と歌。またしてもなのだけれど、普段ロックばかりに接している耳には、どの音もとてもキレイで心地よい。当たり前の事なのだけど、チューニングがいい!

そんなステージを傍観しながら何となく思った。
「フォークは人と繋がる音楽、人との協調(演奏者もオーディエンスも)を楽しむ音楽。対してロックは独りよがりで自己愛の強い音楽、人を拒絶したがる音楽」
そう思うと確かに昨日の出演者の方達は明らかにフォークで、早川義夫さんと僕は明らかにロックな人なのだろう。仲良しでも中川五郎さんと早川さんの大きな違いはそこなのかな。

初めて話しをできた高田漣君の素晴らしい演奏を聴いてから、会場を後にし unsuspected monogram のリハーサルへ向かう。

さて、 unsus。とても順調・快調!新曲達もいい感じに仕上がって来た。まだ細かいところの修正・改良は必要だけど、アウトラインとしてはかなり良い仕上がり。
皆が好き勝手に出す爆音の中で、先ほどの「フォークとロックの違い」を思い返す。unsuspected monogram、明らかに後者。みんな愉快な程に身勝手!


<生前、渡さんが愛用されていた自転車。「これなら転ばないから(いつも酔っぱらいのため)」と言ってたそうな>
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jacks

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resize1254.jpg 今月の早川義夫さんの池袋鈴ん小屋でのライブに、元ジャックスの水橋春夫(Gtr)さんが参加する。

水橋さんには以前仕事でお世話になっているので、よく知っている間柄なのだけれど、ミュージシャンとしての水橋さんは僕が16歳頃の記憶で止まっている。

resize1236.jpgともかく、そんなことで予習を兼ねて旧きジャックスの音源を久しぶりに真剣に聴いてみた。 『LEGEND 40th Anniversary Box』と銘打たれたボックス・セットのサンプル版を頂いていたので、3枚組の中から東芝EMI『ジャックスの世界』と言うアルバム。


話しが前後するが、僕がジャックスと出会ったのは確か16歳・高校2年の頃。音楽雑誌のページの小さな欄に「ヤマハ・ライトミュージック・コンテスト 2位入賞のグループ」として紹介の記事が載っていた。そこにあった小さな写真。サングラスでストレートの長髪(それも当時としては異様なほどの)ボーカリスト。咄嗟に「あ、聴いてみたいな・・・」と思った。(そんな経験はこのジャックスとずっと後の時代に出会ったザ・ブルーハーツだけだ)
ほんの数ヶ月後当時の僕のバンドメンバー舟津君から「ジャックスのコンサートがあるから行こうよ!」と誘われた。彼がどこでどうジャックスに興味を持っていたのか思い出す術もないが、僕らはお茶の水・日仏会館での『ジャックス・ショー』に行った。
まだ高校生の僕らにとっては当時のアンダーグラウンド・カルチャーは異様なものであった。イケナイ場所に足を踏み入れてしまった感覚。でも、贖いきれない興味と刺激に満ちた感覚。

オープニング・アクトに遠藤賢司が登場。もちろん初めて接する歌。素晴らしかった。こんな歌があるんだ!と興奮した。『猫が眠ってる』『夜汽車のブルース』『本当だよ』が秀逸だった。
しばらく休憩の後出てきたジャックスの演奏・歌・・・僕の半世紀以上の人生の中で、あれほど大きな衝撃を受けた音楽との出会いは無かった。歌・言葉・演奏・容姿・その場の空気の全てが完璧に調和しあらゆる芸術をも超越したアートに感じた。とてつもなく力に満ち、とてつもなく繊細で、とてつもなく屈折し・猥雑で、言わば初めてのオナニー以上の体験を知った。
その後は当然の様に、ジャックスが最大の目標になった。全てを知りたくて新宿風月堂で早川義夫さんに会い話しを聞いたり、全曲カバーしてみたり。

間もなくジャックスのレコード(タクトからのシングル)「からっぽの世界」が出た。すぐに手に入れた。
しばらく後東芝EMIに移籍し、メジャーデビュー。『ジャックスの世界』と言うアルバムが出た。当然飛びついた。が、何か違和感を感じた。もちろんそれこそレコード盤が磨り減るほどに聴き返したが、その違和感は消えなかった。
その後ジャックスの追悼盤と言うべき『ジャックスの奇蹟』が発表され、もちろんすぐさま手に入れ聴きまくり・・・更なる違和感を感じた。

それから数十年経ち早川義夫さんと奇しくも一緒に音楽をできる様になる。言わば『神』のような存在だった人とだ。こんな嬉しいことは無かった。
そんな頃にも時折『ジャックスの世界』を聴き返したりした。やはり『違和感』は消えなかった。当時のリアルタイムの早川さんの歌声とあまりに違う。僕があれほど感動したジャックスと何だかわからないけれど、別の音楽に聴こえる・・・。

そんなアルバム『ジャックスの世界』を今日久しぶりに聴く。やはり同じ違和感を感じながら。僕があんなに好きだったのは何故だろう?このバンド・この音源のどこにあれほどの力が有ったのだろう?ただ時代が僕にそういう錯覚を抱かせたのだろうか?

職業音楽家・プロデューサーとしての耳で冷静に聴き、誤解・非難を怖れずに書くなら、残念ながらこのレコード、その特異な楽曲のアート性に触れない限りは、ベースの谷野氏の演奏を除いてあまり評価できるところは無い、と言う結論に至った。
どこか『消化試合』的な演奏。木田さんのドラムは無駄に空気を切り裂き、水橋さんのギターは居場所の無くなった迷い犬の様に彷徨い、早川さんの歌はどこか拠り所無くその持てる”力”を無駄遣いし、谷野氏のベースだけがどうにかギリギリ冷静を保っている様な。

ところが!アルバム『ジャックスの世界』が終わりボーナス・トラックに入り、その感覚は一変した。
この音源はタクト時代のものだろうか?手元に資料が無いのでわからないが、これこそ正に僕の十代の記憶に鮮明に残っているジャックスの音・歌だ。
「からっぽの世界」の真っ直ぐな歌声、全ての音が生き生きと無駄なく絡み合い。そこに見えるジャックスは東芝時代とは全くの別物だった。まぎれも無く生きたバンドとして、バンドならではの奇蹟が起きている。サビでリバーブが深くなるのは当時ならではのギミック、今でこそ恥ずかしく感じるのだけれど、それ以外は完璧な表現だと思う。録音も当時としては考えられないくらい良いものに思える。
「マリアンヌ」のずっとスイングし続ける6/8のドラム。バンドの誰もが素晴らしい演奏だ。そのオソロシク優れたバンドをバックに歌う早川義夫。そう、この声だ!僕にあれほどの感動を与えた声・歌だ!!
水橋さんの歌う「時計を止めて」もこのボーナス・トラックは素晴らしい。アルバムで感じる妙な歯がゆさも無く、すっと入ってくる。

聴きながら、こんなバンドが今あったらとんでもないな、と思う。恥ずかしくって僕はバンドなど出来ないのではないだろうか。

ジャックスを聴き終わり何とは無しに『Radiohead』をかけた。ただのポップスに聴こえてしまった。
ジャックス・・・真にAlternativeなバンドだったのだろう。そして改めて、時代に翻弄されたバンドの不幸な姿に気づく。


ジャックスに関する早川義夫さんのコラム