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ROLAND TR-808の記憶

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今日synth bar @代官山SaloonではROLAND TR特集の集まりがあった様で、是非伺いたかったのだけど伺えず、Ustで参戦を試みるも回線不調な様で参加できずでした。
で、懐かしくTR-808にまつわる記憶を辿ってみようと思う。

ROLAND社には四人囃子時代から色々お世話になり(丁度あのJCアンプが発表された時代)その後僕が四人囃子からPLASTICSへと移って行き、そこでROLAND CR-68, CR-78(改造版)と使い続けて行く中から出て来たたアイデアを当時の担当佐藤さんに色々相談をし、TR-808のアイデアが生まれてきた。

1) パラ・アウトであること。
2) リズムをプラグラミングできること。
3) 各楽器のチューニングができること。
等が基本的な僕の要求だったかと思う。

実際には僕のアイデアが元なのかROLAND社内の開発なのか、どちらが先かは今となっては定かでは無いが、おそらくほぼ同時にそういう時代の要求が生まれていたのだろう。

試作品(と言ってもまだ基盤に半固定ボリュームが付いてる様な状態)のチェックをしに大阪のROLAND社に行き、ああだこうだと開発の方と話しながら試してみた記憶がある。

その後製品版が出来上がるのと一緒のタイミングでPLASTICSの3rd Album『Welcome back Plastics』のレコーディングスケジュールが決定。早速TR-808の初号機(シリアル1番)を抱えナッソー・バハマのコンパスポイントスタジオへと飛んだ。
今にして思えば無謀なのだけど、マニュアルも何もまだ出来ていない初号機を持ち、CR-78等押さえのリズムボックスは何も持たずにナッソーに飛んだ。

ナッソーへと向かう機中と到着した夜に必死に操作方法を研究した。何せマニュアルも何も無いので、その前にROLAND社で試した基盤状態のモックアップを思い出しながら。

スタジオに入り、アシスタント・ベンジャミンとプロデューサー・アレックス・サドキンにこの機械を使ってのレコーディング方法を簡単に伝え作業に入る。
それまでのCR系と違いマルチアウトがとにかく楽だった。それ以前はバラ録りする為に自作のシンクボックスを使い、テンポ調整はSH-1のLFOでやるような状態だったのではるかに快適になった。

もちろん世界初のTR-808のレコーディング。操作性はまだまだだったけれど音は期待以上だった。その時のレコーディングで自分なりの808の音作りの”秘密”も手に入れりことができた。そのテクニックは今でも活かせる。

たまたまEric Claptonが隣のスタジオにレコーディングに入っていたのだけど、毎朝10時から一人で808の打ち込みをしていると、やはり朝から一人でスタジオに入っていたクラプトンが僕の後ろで腕組みをしながら「こいつ何やってんだろな〜?」とジっと見守っていたのがとても印象深い。

ともかくそんな感じで無事レコーディングは終わり、プロデューサー、アレックス・サドキンがその時作ったTR-808の音が世界初、そして僕が知る限り何も飾らない最高の808の音として残った。

-- 808 後日談 --

ナッソーバハマでのレコーディングが終わり、次のライブツアーで向かったロス。グリフィス・パークでB-52'sとのライブだったのだが、その翌日だったか(?)DEVOのマークの家に遊びに行った。
DEVOから噂はすでに聞いていたが、そこで初めてLinn Drumの現物を見、音を聴かせてもらった。その音を聴き、素直に
「あ…TR-808の時代は終わった…」と感じた。PLASTICSのレコーディングから一ヶ月も経たない話しである。
それでもPLASTICSは、その後解散までTR-808を2台使ったライブツアーを行っていた。
そして時代を経てTR-808が奇蹟の復活を遂げた。

-- Linn Drum 余談 --

そんな宿敵状態のLinn Drumだったが、それからしばらくして日本に入って来たのだけど、知る限りそれをポップスで使ったのは僕が最初だったかと思う。作品は近藤真彦「ミッドナイトステーション」。Linnでドラムパートをやり(当時は前代未聞なので)筒見京平先生にかなり白い目で見られた。