昨夜の投稿の追加文

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深夜にだらだらと書いた文章がFB、twitter上でもとても大きな反響を浴びていて正直びっくりしている。
本人としてはそんな大それた事を書いた意図も無く、日常的に感じていたことをごく簡単に述べてみただけだったのだが。タイトルに付けた『音楽家が音楽を諦める時』の言葉が無駄にインパクトを与えてしまったのだろうか。
ともかく、たくさんのコメントやメッセージをありがとうございます。興味深く読ませていただきました。その中には誤解されてるなぁと思うのもあったりするのだけど、それは一重に元の文章の言葉足らずが所以かと思います。
そんな訳で昨夜あまり丁寧に書けなかった部分・誤解を与えそうなところを多少なりとも追補できたらとまた長文を。

はじめに。昨夜書かれた「音楽を作る」こととは全般に録音物としての音楽制作の意味です。
音楽を作ることには作曲、演奏やライブやレコーディングやら色々な部分がありますが、その上で昨夜の文章は録音される音楽に限定した話しです。なので例えば「いい音楽を作るにはお金がかかる」=「いい録音物を作るにはお金がかかる」の様に読み直していただけると助かります。

”音楽を諦める”も同様に「いい録音物の制作を諦める?」と言うニュアンスで、音楽そのものや制作を放棄する、あるいは新しい音楽スタイルの模索や思考や指向を諦めるとかの意味では無いです。
はじめのところにも書いた様に僕自身は音楽をやめるつもりは毛頭なく、自分のバンド活動等含めこんな時代になったことを実は案外前向きにかつ興味深く捉えています。時代に対してポジティブであるからこそ「おやすみ音楽」の様なアプローチも続けていられるのかと思います。

ただ現実を鑑みるとプロとしてある部分を”諦めて”前に進むしか無い残念な状況ではある、と言う話しです。

音楽には色々な手法があります。PC一台だけで出来てしまうものから大人数揃い広い場所が無いとできない音楽まで。そしてその手法による音楽的優劣など当然ありません。
ところが制作の過程におけるコストには明らかな違いが出て来ます。PCだけの音楽はアパートの一室で低消費電力で粛々と制作できるのに対し大人数の音楽や大音量を発する音楽はそうも行きません。
後者は場所だけの問題では無く、それらを録音するには高度な技術やセンス多量の機材等も必要となります。プラグインとソフトシンセだけで作られる音楽の様に手軽に制作は出来ません。

例えば十分な予算を持てないロックバンドが居たとします。
どうするか?一番安上がりなのは、ドラムを打ち込みにし他の楽器は全てプラグインで音を作り、歌は押し入れで布団を被ってガナリ立てればいいのです。それをメンバーのアパートの一室でミックスして完成。
もしそれじゃさすがにショボイ!と感じたらそうやって録音したファイルを僕らの様なプロに委ねればいいのです。ローコストながらそこそこなクオリティで仕上がるでしょう。

このやり方をしても「音楽のいい悪い」に大して影響は無いでしょう。じゃぁ僕らはそうやって安価に作り続けて行けばいいのか?僕は否定的です。
もちろんそういう音楽の作り方そのものに何の非もありません。そういう作られ方の音楽が存在して行くことも決して否定はしません。ありです。
が、もし僕がそのバンドにプロデューサーとして関わるならば違う方法を探すでしょう。彼らが出す生の音、生の演奏を記録できる方法を。それは自分の為では無く必ずそれを経験できた彼らの為になるからです。自分達の出す・出せる音を知れるからです。演奏者はいい音を出すことを知ってはじめていい演奏に向かえるのです。

ところがこの方法はそれなりにコストが掛かって来ます。時間の掛け方もダイレクトにコストに影響します。
演奏にかかる時間は元より、ある程度時間を掛けなければ「いい音」(納得できる音)は見つけられません。そのバンド、その楽曲に見合うドラムの音、ギターの音、ボーカルの声色等々。そうして制作コストは膨らんで行きますが、そう出来なければ到達できない音・演奏(つまり音楽)がそこにはあります。
昨夜書いた「コストは音の作り方・クオリティに正比例する」の真意はここにあります。

僕個人はとてもデジタル好きな人間で、上記の様な人間臭いアナログな方法論はさっさと捨てて一人ディスプレィに向かい粛々と音楽を作りたい欲求をいつも抱えています。
でも音楽制作人(プロデューサー)としての自分の仕事は上記の人間クサイ面倒な道を歩まなければなりません。そうしなければ自分にもそのアーティストにとっても”いい音楽”には出会えないからです。
が、そういう音楽の作り方をする為の最低限の土壌がこの国にはもうあまり残っていないこと。その事によって日本の音楽の質もビジネスとしてもガラパゴス化し遅れを取ってしまっていること等を憂えたのが昨夜の文章の真意です。

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This page contains a single entry by masahide sakuma published on June 16, 2012 7:35 PM.

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