April 2010 Archives

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昨日までの3日間、毎晩twaud.ioにアップしているおやすみ音楽シリーズ "Goodnight_to_followers" の作品として初めて VOCALOID を使ってみた。
http://twaud.io/SSY , http://twaud.io/SY5 , http://twaud.io/Sh8

ネット上での反響の大きさにも驚いたけれど、僕がボーカロイド(以下ボカロと略)を使ったことがとても意外と受け取る反応が多かった。多分職業プロデューサーとして見られているからなのか。自分としては音声合成ソフトの初期から音楽に取り入れたりしているのでその反応が意外だった。古くはポンキッキの音楽、PLASTICSのラフトレード盤でのSpeak & SpellによるCOPYや、コンピューター上のソフトウェア音源としては、もう名前も忘れてしまったけれどずいぶん古くから試していた。

僕のシンセサイザー歴のスタートも実はEMSを使っての人声シュミレーションからスタートしている。四人囃子初期の話しなので1975前後。


さて話しを戻してボーカロイド。最初の情報を得たのはいつだろう?もちろんすぐにも飛びつきたかったのだが、時間があまり割けそうになかったことと Windows上でのアプリケーションだったことでなかなか試すこともできなかった。初音ミクも発表された時からすぐにでも使ってみたかったしその時点で試したいアイデアも色々あったのだけれど、やはり上記の理由で出会えないままでいた。
瞬く間に初音ミクは超売れっ子アイドルとなった。予想した通り、いやそれ以上の人気タレント扱いとなった。僕は始めの頃多少聴いただけだが、ネット上には彼女の声が溢れているようだ。

それがtwitter上でのちょっとしたやりとりから簡単な道が見つかった。MacでもWindowsのエミュレート上で動くことを教えてもらえた。なるほどあまりに簡単な道で考えもしなかった。と言うか例えMac上でもWindowsを動かすこと自体に抵抗はあったのだが。

ともかく、すぐに注文をした。選んだのはボカロ3代目アイドルの巡音ルカ。理由は唯一バイリンガルであること、大人しめな声なのも気に入って。

インストールしたその日に作ったのが1作目「春が咲き」(仮タイトル)という曲。先日の unsuspected monogram の関西ツアー最終日にhachi のボーカルハツエさんと共作した作品。その日のGoodnight_to_followersとしてアップされている。http://twaud.io/5wd
真っ先にやってみようと届く前から決めていた曲。結果は予想通り。音楽的に使える。インターフェースに改良の余地は感じるし、声の移り変わり(発音の)にギクシャク感はあるが、決してイヤな感じ・不快な感じと言う程ではないと感じた。昔のアナログ時代のハーモナイザー処理に似た感じとでも言おうか。80年代にアイドルもの仕事で多用したアナログ・ハーモナイーザーでのピッチ補正やメロディの補正時の記憶が蘇る。


二日目に試したかったテーマはブルース。もちろん意図的に”無機的な”ブルース。1970年代初頭(四人囃子以前)に思いつきずっと試してみたかった真面目な遊びのアイデア。40年かかってやっとできた遊び。

前半はバックもバカバカしい程の機械的演奏。と行っても昔のCV/GATE時代の様なリズム感=遅延の無いジャスト感はMIDI以後出せなくなってしまったが。
それが間奏のギターソロが入るとそれだけで趣が変わって来る。あえてオケとかけ離れた激しい歪みきったギターを弾いた。このギターのオブリが乗ってくるとルカの声の表情がそこまでと変わって感じる。そこまでは全く何の処理もしていない”素”のルカの声音。そして最後のコーラス、バンドは突然生演奏になる。ルカの声も通常のレコーディングと同様の処理。コンプレッサーのかけ具合もEQ処理も通常自分でミックスする時の方法、セッティング。軽くディレィをかけて艶っぽく。
当たり前だがそこまでのルカと存在感が変わる。急に生々しくなり、同時にそれが嘘くささを目立たせる、と言う興味深い実験。


三日目。今度はそれまでとは別のアプローチ。何かと言えば、巡音ルカさんと言う歌い手のために書き下ろした曲・詞で作品を創った。出会って3日目にして”その気”になれた。
"FALL" とタイトルをつけた楽曲。

当たり前なのだが”彼女”はその楽曲にちゃんと応えてくれる。生き生きとノビノビと歌う。実は時間が無いのであまりきちんとしたエディットができていないのが残念だが、もっと踏み込めばさらに良い歌い手として応えてくれるだろう。
自分としては予想以上の素晴らしい作品が出来上がったと思っている。

http://soundcloud.com/masahidesakuma/2010-04-20mix ←で44.1K/24bitでダウンロードできます。

「そんな機械に唄わせて何が面白いの?」「気持ち悪い!」と言う声もまだ多いかとも思う。それも至極もっともな感覚だ。
でも自分は一人の音楽家として何の偏見も無く、素晴らしい技術・進歩として喜んで”彼女たち”を音楽制作の現場に迎え入れたい。


3日間を通して短い時間ではあるけれど充実した貴重な音楽体験ができた。ボーカロイド技術の素晴らしさ、将来への期待を含めてtwitter上で開発陣に賛辞を送らせていただいた。

昨夜14日は大阪雲州堂にて”CRYSTAFIR"と名付けられた Cojok のファーストアルバムリリースワンマンライブ。CRYSTAFIRは「A FIRST CRY」(多分産声のこと?)を解体した造語らしい。


前の晩はゆあさみちるちゃん(『ひととせ』として活動中のボーカリスト。今配信しているGLAY "APOLOGIZE"でも歌っている)と初めて高円寺の one へ。長い付き合いのoguri君の店、ずっと行きたいと思っていたのだけど中央線沿線はあまり行く機会が無く延び延びに。 駅で待ち合わせ、いざ行かん、と元気よく歩き出したがどういう訳か道を間違えて全く反対方向へ。その後向きは直したけど今度は遙か通り過ぎてしまったり。普段道に迷うことなど無いのだけど迷惑かけました!to みちる。

onekoenjiは雰囲気のいいとても楽な感じのお店。今度ライブやらせて下さい。

みちるちゃんと久しぶりにたくさん語り合い楽しい夜。
みちるちゃんとはもう長い付き合い。確かまだ17才の頃。人の紹介で歌を聴かされ衝撃!すぐに連絡を取ってもらいスタジオで初顔合わせ。その時の歌にさらにオドロキ・・・何だかんだ長い付き合いになってきている。二人でblue et bleu と名付けたユニットもやりかけのままだけど。何年かかろうとそのうち形にできれば幸い。素晴らしい作品になるはずだから。
michiru_at_one.jpg
終電近くに駅で別れ新宿ワシントンホテルへチェックインしすぐにおやすみ音楽(Goodnight_to_followers 2010.04.13)をtwaud.ioへアップ。元はだいたい出来ていたのでさほど時間はかからずに就寝。


翌朝大阪へ向けて旅立ち。
以前はしょっちゅう来ていた大阪。演奏しに来る以外で訪れるのはしばらくぶり。大阪駅は大規模な改修工事中。

ホテルにチェックインし、しばし譜面書きとおやすみ音楽作り。ほどなく僕の唯一のベース弟子マナちゃんが来訪。久しぶりの再会。たくさん話しができた。いつも明るくキュートなマナちゃん。ともかく一生懸命頑張っている様子で何より。
それからリハスタ帰りのhachiと合流し雲州堂へ向かう。
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雲州堂に併設されている Dining IORI でtyphoon ministersのシライシさんと待ち合わせ。 shiraishi.jpg 店に入ると一人ぽつねんと居た居た!hachi,typhoonと2週間ぶりの再会なのだけどすごく久しぶりな感じで再会を喜び会う。 hachie_short.jpg c-sa.jpg yuzochama.jpg IORIはとっても素敵な店。おいしいお料理と豊富な飲み物メニュー。お店の方もとてもいいカンギ!併設の雲州堂からは今まさにリハーサル中のCojokの音が漏れ聞こえてくる。 美味しい料理に美味しいお酒、すてきな仲間と美しいCojokの音楽。最高の夜!

積もる話しをたくさんし、いよいよCojokの本番時間。
雲州堂に入る。すごく素敵なスペース。今度早川義夫さんと大阪に来る時にはここで演ろう!

Cojokのライブ。あまり言葉にしようも無いのだけど、当たり前の様に素晴らしく感動的なパフォーマンス。みんなでうっとりと見とれる。
すると聞き覚えのあるピアノ音の曲が始まる。終演後流れたテロップで初めてわかったのだが僕のGoodnight_to_followersの中のピアノ曲をコラージュして作られていた楽曲。ありがとう!あのピアノにどうしてあんなメロディが浮かぶのだろう?すごい。

一時間半のセットはあっと言う間に終わってしまい、楽屋から下りてきたAse君Kcoさんと打ち上げ。
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それから Cojok,hachiと一緒に一旦ホテルに戻り、おやすみ音楽制作とアップに付き合わせる。
無事できたので皆でまた街へ繰り出し、結局明け方まで。本当に楽しく充実した時間を過ごせる。仲間になれたのだろうな。
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きっとこれからみんなで助け合い励まし合いながら音楽を続けて行ける関係になれた様だ。ステキだな。

avec derisya

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昨夜は早川義夫さんと一緒に新宿JAMでのライブ。初共演はデリシャスイートス
デリシャ.jpg
会場に着くなり不思議な方々(?)がたくさん。デリシャのメンバーのみなさん。
最初は「何だろなぁ〜?」と思いながら様子を伺っていたが、その場の雰囲気・色々な手作り小道具やら飾り付けやら物販品やら。全てが乙女!で可愛い。

皆さんと挨拶し(男性演奏陣含め全員すごく感じが良い)一緒に演奏する曲のリハからスタート。

リハが終わり本番まで早川義夫さん、新見さんとポツンと楽屋に。多分みんなが気を使ってくれたのだろう。ありがとうございます!でもそのうちみんな集まってくれて記念写真や歓談や。本番前に打ち上げ状態。

本番は、とにかくお客さんの感じがとても良かった。みんな真剣に聴いてくれているのがとても伝わって来た。

終演後、会場で焼き肉パーティ。アルミシートを会場内に敷き詰め、皆靴を脱いで車座で楽しい宴。
機材運びで飲むわけにはいかないけれど、それでもキュートで楽しいデリシャのメンバーに囲まれごきげんな打ち上げ。みなさんありがとうございました!

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今日(いや既に昨夜)は国立地球屋で早川義夫さん、熊坂るつ子さんとのライブ。

国立、相変わらずオシャレで素敵な雰囲気。広い通りには満開の桜並木、Kinokuniyaあり、おしゃれな雑貨屋さんなどが並び、モスバーガーまで素敵な佇まい。

相変わらず・・・と言っても、実はおそらく50年ぶりの国立。
子供の頃親戚の様な(微妙な関係)一家が国立に暮らしていて(今日の地球屋のすぐそばだったと思う)よく遊びに行っていた。書くと長くなってしまうし、先方が歴史上(?)の有名人なもので色々支障がありそうで書けないのだけど。簡単に記せば「とても数奇な運命を辿った一家」ということになるのかな。

当時ハーフの姉妹と大の仲良しだった。お母さんが乗っていたのは小さな日野ルノーという車。その小さな車内に仲良く相席し語らっているのが大好きだった。おそらく幼稚園(僕は行かなかったが)くらいの年齢かと思う。可愛い白系ロシアのハーフの娘達に初めての淡い恋心を抱いていたのかも知れない。

そんなことを思い出させられる街、国立で初ライブ。

ライブ前の待ち時間に早川義夫さんから twaud.ioに毎晩載せているGoodnight_to_followersに関する質問が。
「タイトルはつけないの?あれば、あの曲って言うのがもっとわかりやすいのに」と。
確かにそうだと思う。それを考えてみた時もある。
でも、やはり気恥ずかしい。と言うか言葉の強さが音を越えてしまうことを機具してしまうのかも知れない。

音楽に言葉でのタイトルを付ける。普通なことだけど、それによって音楽は音自体の行き場・向かう先と関係のないところに意味づけられ、そこから逃れることが難しくなってしまう様に思える。
例えば「春」とつける、その楽曲は”春”の響き・イメージから逃れられなくなってしまう。かと言って 2010.04.10 はあまりに不親切だ。

でも・・・と、ふと思い当たる。そう、この楽曲達は一過性で良い。一晩だけ咲いている花のようなものだ。だから時間が経ち、誰かがあの楽曲は!?とタイトルなど思い出せなくていいものなのではないか?その日その場で生まれ、そこに消えていくもの。音楽って実は本来そういうものだったのではないだろうか、と妙に真面目に考えてみたりする。

音は音の実在など残らなくてよい。その感触だけが心のどこかにフワっと漂ってくれれば。そして、それすらいつか消えて行ってしまえばよいのだと。


あの二人姉妹、今どこでどうしているのだろう?日本には居ないようだけど・・・。

50th goodnight

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twitterのおまけ機能(?)の様な twaud.io に毎晩「Goodnight_to_followers」と称して”おやすみ音楽”作りを始めてから、今夜で50作目。

もう50作でもあり、まだ50作でもあり。

始めるまでは帰宅して酒を飲み、ネットをしたり何となくダラ〜っと普通に過ごしていた寝るまでの時間帯。そう、”普通に”過ごしていたリラックスタイムが一変。帰ると追われるように音楽作りを始める。今日の音楽はどんなのにしよう、とあれこれ考えながら録音準備をし。ある時はピアノに向かい、あるいはギターをケースから取り出し。MacBookや周辺機器を用意し制作体制に入る。

多少の試行錯誤はあるけど幸い”何か”が生まれて来る。何か得体の知れない感覚の中、眠い目をこすりこすりし楽器を弾き。プレイバックを聴きながらうたた寝をし。どうにかアップロードするまでの得難い緊張と集中の時間。そして今夜もかろうじて完成する。

疲れている、眠い、アイデアが浮かばない等以外の圧倒的な障害は、仕事がら昼間から夜まで音楽作りの現場に居ること。ずっと音楽制作をし続けている上に帰宅してのんびりすべき時間にも音楽作り。昼間別の事をやっていればずいぶん楽なのになぁと思う。

そんな夜を50日。我ながらよくガンバッタと思う。

さて明日で終わるか来年もやっているか?自分への挑戦の日々を楽しもう。

先日の関西ツアーで共演し、心底感動しショックを受けた Cojokのアルバム「CRYSTAFIR」を聴いた。
実際には大阪からのドライブ中に車内でかけてはいたのだが、帰ってからは意図的に聴かないようにしていた。あまりにライブでの印象が大きかったこと、その後Cojokと連絡を取り合いこの先の話などもして行く中でどこか冷静に聴けない気持ちがあったのも理由だ。


そのアルバムをやっと今日自分自身に”解禁”した。
少し時間を置いて冷静に聴いてみる。やっぱりまるで当然の様に素晴らしい音楽。新しい発見は M-4 "The Molody I Will Hum" の様なフォーキーでシンプルな楽曲の素晴らしさ。そして全体を通してメロディの完璧なほどの美しさ、歌詞の深さ等々。新たな発見・感動がある。Ase君の作るバック・トラックに関してはライブとそれほど大きな印象の違いはないが、緻密な完成度の高さはスゴイとしか言いようがない。
ただ、あえて言ってしまえば(これも当然なことなのだろうが)ライブの方が更にスゴイ!


2010年、知っている限り自分にとっては最高のグループだと言い切って過言では無い。何故こんなすごい人達があまり知られることなく密かな活動になってしまっているのか。そのことの方が驚きだ。どうしたらもっとたくさんの人にこの音楽を届けることができるのだろう?と余計なお世話をずっと考えてしまう。

さて、ライブ初日のリハーサル時。初めてKcoさんの生の歌声を聴いて咄嗟に思いだしたのが "dip in the pool" の甲田益也子さんの歌声。今日アルバムを聴いてみてもやはり同じ質感を感じる。Cojokの二人は dip をご存じ無かったが。

dip in the pool は1985年にデビュー。デビュー時から確か4枚目のアルバム「Ratinae」まで関わっていたのかと思う。ボーカルはモデルとしても今も第一線で活躍している甲田益也子さん。キーボード(作・編曲)に木村達司君の二人のユニット。アマチュア時代のデモテープを聴きすぐに一目惚れ、そのままデビューまで突っ走った。ライブにもよく参加していた。僕のソロ・アルバム「in a garden」(1991)は木村君によるプロデュース作品。


[ 珍しく The Stick を演奏する僕。この撮影の日、39度近い高熱を出してスタジオに。 ]


dip in the pool も決して忘れることのできない素晴らしいグループだった、と過去形にしてはいけないのだろう。先日久しぶりのライブがあったが仕事の都合がつかず見に行けなかった。とにかく日本人離れをした音楽性、木村君のトラック・メイクの類い希な能力、甲田さんの透き通った(まさにそう呼ぶに相応しい歌唱)ボーカル、意味の深い歌詞。そして英語詩とその発音の響きのキレイさ。
と書いているだけで、Cojok と酷似している。

時代を超えたこの二組。共演なんてことできたら本当に素晴らしいのに。

日本の音楽シーン捨てたもんじゃない、と思える才気溢れる人達と出会える幸い。
これからもこういう出会いがたくさん訪れる人生でありたいな。